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拡散力のはなし

Twitterが重宝されている理由のひとつは、その拡散力の強さであることは間違いないでしょう。 特にTwitterが異常に活発な日本では、バズったtweetは国民全員に遍く広がったような錯覚すら感じます。 拡散力は、特に宣伝をしたい 企業アカウント にとって非常に重要です。 企業アカウントそのものがいらないんじゃないか説はあると思いますが、 やはり企業のコンテンツ力は強力です。 また、レイトマジョリティ層へのTwitterの普及には、企業アカウントの参入が重要な役割を果たしたという点も忘れてはいけません。

この拡散力も、マストドンは非常に弱いと言わざるを得ません。

拡散の仕組み

機能的な意味での拡散力は、Twitterとマストドンで違いはありません1。 どちらもフォローしている人のRT/Boostが流れてきます。 この点では、サーバが分散しているマストドンでも不利になることはありません。 マストドンの拡散力が弱いのは、周辺機能の問題です。

LTLの弊害

フォローしている人のBoostが流れてくる仕様は変わらないのに拡散力が低い理由は、 フォローする人数が少ない からです。 なぜフォローする人数が少ないかというと、LTLが面白すぎるから です。 さらに、フォローしたい他サーバの相手も TLTに向かって話しているから です。 このため、特にLTLが活発なサーバのマストドンユーザは他のユーザをフォローしない傾向があり、Boostの効果が発揮されません。 そもそもLTLが活発なサーバのユーザは HTLを見ていない 可能性が高いです。

また、単純にフォローしたい人を見つけるのが困難という問題があります。 リモートユーザは、サーバの誰かがフォローして初めて認識できるようになります。 連合タイムラインを見ても、全マストドンの全アカウントの発言が見れるわけではないのです。 これは特におひとりさまサーバでフォロー相手を探すのを難しくしています。

検証力の弱さ

意図を持ってなにかの行動をする時、その行動がどのような影響を及ぼしたかという 効果測定 をする必要があります。 Twitterに追加された 最も無意味な機能 2 として有名なインプレッション数ですが、 宣伝をしたい企業にとっては、広告効果の測定のために非常に重要な指標です。 このインプレッションを測るという機能は、分散SNSでは原理的に不可能 です。 また、そもそも分散SNSの大前提として、世界がどこまで広がっているのかわからない という点で、壊滅的なほどマーケティングに向いていないと思います。

検索の弱さ

もうひとつ、何かを拡散させたい人がやることといえば エゴサ です。 どれだけ言及されているかを調べるのには、やはり名称やURLで検索するのが一番手っ取り早い方法です。 ところがマストドンでは検索の実装はサーバ運営に任されており3、そもそも複数サーバを横断しての検索などもできないため、エゴサが機能しません。 また前述の通り、世界の大きさを把握できないので、すべてを対象にした 横串検索サービス を第三者が実装/提供することも難しいでしょう。

結論

Twitterと比較すると、マストドンは拡散性において 分散されていることに起因する 弱点が存在します。 やはりサーバ間の通信コストは高く、インプレッション数のような常に変動する数値をやり取りするのは現実的ではないし4、相手の都合で割けるサーバリソースなんてありません。

そして何よりも、 LTLがチャットルームとして優秀すぎる という大誤算により、 分散SNSの文化が完全には機能しておらず、拡散の難しさに繋がっています。

Footnotes

  1. TwitterのFavが漏れるという 異常事態 は除外します

  2. 人類は承認欲求をやめろ

  3. best-friends.chatでは 「過去の発言が検索できてしまうとロクなことにならない」として実装していません

  4. そもそもサーバ内ですら高コスト